令和5年度(厚生労働省委託事業)職場のハラスメントに関する実態調査報告書について

2024年6月28日

はじめに

 今回のコラムは、「令和5年度(厚生労働省委託事業)職場のハラスメントに関する実態調査報告書について」です。
 厚生労働省は、令和5年度厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査」(調査実施者:PwCコンサルティング合同会社)について、報告書を取りまとめ公表しました。
 この調査は、令和2年度に実施した職場のハラスメントに関する実態調査から3年が経過し、ハラスメントの対策に取り組む法人やハラスメントを受けている労働者の状況も変化していると考えられることから実施をしたとのこと。全国の企業と労働者等を対象に、令和5年12月~令和6年1月に実施しています。
 「企業調査結果のまとめ」から、気になるポイントについて、ご案内をさせて頂ければと思います。

企業におけるハラスメントの発生状況

  1. 過去 3 年間各ハラスメント(パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、顧客等からの著しい迷惑行為、就活等セクハラ)の相談件数については、セクハラ以外では「件数は変わらない」の割合が最も高く、セクハラのみ「減少している」が最も高かった(「件数の増減は分からない」を除く)。顧客等からの著しい迷惑行為のみ「件数が増加している」の割合の方が「件数は減少している」より高かった。また、該当件数の傾向としては、顧客等からの著しい迷惑行為については「件数が増加している」の方が「件数は減少している」よりも多かったが、それ以外のハラスメントについては「件数は減少している」の方が「件数が増加している」の割合より多かった。
  2. 相談件数の多かった業種としては、パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメントでは、「金融業、保険業」、「教育、学習支援業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「医療、福祉」や「生活関連サービス業、娯楽業」が多い傾向にあった。顧客等からの著しい迷惑行為では、「医療、福祉」、「宿泊業、飲食サービス業」、「不動産業、物品賃貸業」(それぞれ53.9%、46.4%、43.4%)が、就活等セクハラについては、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「教育、学習支援業」の順に相談があった企業の割合が多かった(それぞれ 2.9%、2.1%、1.4%)。

企業におけるハラスメントに対する取組状況

  1. パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業・介護休業等ハラスメント、顧客等からの著しい迷惑行為、就活等セクハラに対して予防・解決のために実施している取組として、「相談窓口の設置と周知」の割合が最も高く、約7割以上の企業が実施している。次いで「ハラスメントの内容、職場におけるハラスメントをなくす旨の方針の明確化と周知・啓発」の割合が高く、約6割以上の企業が実施している。業種別にみると、いずれのハラスメントにおいても、「金融業、保険業」、「複合サービス業」などで、取組を実施している割合が全般的に他の業種より高かった。
  2. また、顧客等からの著しい迷惑行為に関する取組について業種別にみると、一般消費者との接触頻度が高い「医療、福祉」、「金融業、保険業」、「宿泊業、飲食サービス業」などにおいて、取組を実施している割合が他の業種より高く、また、そうした企業では取組を進める上での課題として「迷惑行為に対応する従業員等の精神的なケアが難しい」との回答が他の業種より多かった。

企業におけるハラスメントに対する取組の効果・課題

  1. 予防・解決以外の副次的効果としては、「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる」(39.1%)の割合が最も高く、「会社への信頼感が高まる」(34.7%)が続いた。
  2. ハラスメントの取組を進める上での課題について、取組を実施している企業では、「ハラスメントかどうかの判断が難しい」(59.6%)が最も高く、取組を実施していない企業においては、「特にない」(42.6%)が最も高かった。

終わりに

 この調査からもわかるとおり、「社会の意識の高まり」や「ハラスメント防止対策」の義務化等により、ハラスメントについては、近年どちらかというと減少傾向にあるものの、顧客等から著しい迷惑行為、いわゆる「カスハラ」については増加傾向にあります。

 カスハラ対策については、最近、様々なところでニュースとなっています。
例えば、東京都においては「カスハラ防止条例」の制定を目指し、議論がなされているところです。

≪カスタマーハラスメント防止対策に関する検討部会≫
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/plan/koyou/kasuhara/

 また、民間企業においても、JR西日本が、乗客などからの理不尽な要求とみなす「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を定義し、対応策の「基本方針」を策定したことを発表しています。

 自法人の職員を守るという観点でしっかりと対策を行うことが重要な時代になってきているのかもしれません。

【参考】
職場のハラスメントに関する実態調査について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000165756.html

※本コラムは、一般的な情報提供を目的としたものです。法令や行政の指針は執筆時のものであり、改正されることがあります。また個別の事案によって適切な対応は異なります。

執筆者:特定社会保険労務士 澤田 真

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